私は35歳の時、いわゆる老眼(専門の方は「老視」というそうです)と診断されました。
30歳代で病名に「老」の字がついたという事実は、当時かなりショックでしたが、仕事熱心ゆえの職業病だと慰めて、無理矢理納得していました。
実は私のコンタクトレンズ歴は長く、20歳から50歳までで、しかもその間、一度も紛失したことがないというのが自慢でした(もちろん度を変えたことはありますよ)。
その後はメガネにしましたが、現在まで3種類、家の中用、運転用、そして診療用をTPOで使い分けています。
そして普段の診療中はメガネにさらに2倍の拡大スコープを取りつけて使っています。
その他必要に応じて、単体で2.5倍、3倍、そして5.5倍の拡大スコープを使っています。
しかし、作業によってそれらをいちいちかけ替えるのは実に面倒です。
さらに、LEDで軽いとはいえライトを装着すると、鼻にかかる重さは相当なものになります。
今年4月、たまたまあるデンタルショー(歯科用品の展示会)で倍率が3段階に切り替えられる拡大スコープ(写真)を見つけ、一目惚れしてしまいました。これはスルーザレンズといって、拡大レンズ自体が防塵レンズを貫通しているため、重心が顔面に近づき、すなわち鼻にかかる重さが軽減するのです。しかし当然瞳孔間距離を測定してのオーダーメイドのため、時間がかかり価格が跳ね上がります(ちなみに防塵レンズにも度が入っているため、40万円以上になります)。でも、見たいものが見られる—背に腹は代えられません。
一度目は瞳孔間距離が合わず、再製に出して先日やっと手元に届きました。今度はピッタリです。嬉しくてたまりません。現在、慣らしで使っていますが、診療がまた楽しくなりそうです。