ついこの間までの猛暑が嘘のように、涼しい風が吹き始めました。
診療室の子供たちも、新学期を目前に心なしかその表情に緊張感がうかがえます。
さて、飲兵衛の私に、群馬県保険医協会から「酒にまつわるエピソード」というテーマで原稿依頼がありました。
独断偏見OKとのことなので、早速原稿をしたためました。
政治的なものとは違い、趣味についての御託は語るほうも結構楽しんでいます。
以下がその原稿です。 よかったら読んでください。
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偏見に満ちたワイン考
いつ頃だったろうか、私がワインに憑かれてしまったのは。
それまでは、「飲む」といえばビールだった。
若い頃は、自分の体のどこにビールの貯蔵庫があるのかと思うくらい、不思議と飲めた。そして旨かった。
ところが、ある歳を境ににわかにビールの許容量が激減した。
それとともに、酒をゆっくり味わってみたいと思うようになった。
飲兵衛の性とはこういう正当性を主張するのだから始末が悪い。
ところが、いまだかつて日本酒を美味いと思って飲んだことはなかった。正確に言うと、一度だけあった。久保田の万寿という代物を飲んで、「これはワインのようだ」と感じたことがあったが、お足のほうがべら棒に高かった。じゃ、ワインでいいんじゃないの、と思ったのがことの始まりだったろうか。酔っていたのでそれもよく覚えていない。
白は口当たりがいいのでグイグイいってしまう。特にリースリング等、ドイツワインなどにハマったら翌日二日酔いは確実。
今では真夏以外、白はほとんど飲まなくなった(真夏の白は最高、それもシャブリなど辛口が)。
一方の赤ワインは、味以外に香りと色が楽しめ、「酒との語らい」を満喫できる。仕事を終え、1日の反省(?)をしながらグラスを傾ける、まさに至福のひと時である。
赤を飲み始めた頃は、色鮮やかなイタリアのキャンティが口に合った。ぶどうはサンジョベーゼ。それもかなり冷やして飲んでいた覚えがある。
そのうち徐々にボルドーの渋さに傾いていった。ちなみにブルゴーニュは残念ながら酸味が好みに合わない。
持論だが、赤は常温で飲むに限る。そのほうがまろやかな味になり、何より香りが豊かになるからだ。私の場合、ワインの評価はその2/3は香りで決まる。
また、ほぼ毎晩赤を飲む私にとって、高価なワインは当然その対象から外れる。
現在のmy favorite winesの代表をご紹介する(2000円台で購入可能)。
初めてのワインを口にする時、無意識にこれらと比べている。
あくまでも主観なのであしからず(味の深みと香りの豊かさが決め手)。
- レーベンスウッド ジンファンデル ソノマカウンティ(あるいはナパバレー):カリフォルニア産
ジンファンデルは産地違いでイタリアのプリミティーボと同種のぶどう。このワインは2008年のノーベル平和賞の公式晩餐会で使われたことで有名。香りが高貴で味は濃厚。
- シャトー モン・ペラ・ルージュ:ボルドー産
ワインを扱った漫画「神の雫」で取り上げられて一躍有名になったワイン(ちなみに私はこの本を読んだことはない)。
メルロー主体で、カベルネソーヴィニヨンetc.とか。
甘い香り。抜栓してからしばらく時間を置くか、あるいはデキャンタージュしたほうが味わいが豊かになる。