今回も診療のお話です。
今年2月末、かねてよりの懸案だった歯科用のCTをついに導入しました。
私も57歳になり歯科の開業医としての先が見え始めた今、これから大きな借り入れをすることに迷いがあったのも確かです。
しかし、生来の優柔不断な性格の私が身につけた処世術、それは既成事実から姿勢を決めるという方法です。この最近の私の流儀(笑)に従い、ついに心を決めました。
別の見方をすれば、新規開業で返済が重くのしかかっている歯科医には、CTなどの高額医療機器を開業当初から導入することはかなりのリスクになります。
30年近く地域で開業し、それなりに返済も終わっている私たちが、診断のためのより正確な情報を得るため導入すべきものではないか、とも思うのです。
とはいえ、高額であることには変わりはないのですが。
ところで、歯科にCTって何に使うの?と思われるかもしれません。
実は、歯髄(歯の中の神経)の状態や歯槽骨(歯の周囲の骨)、歯の根の形といったものは、外からは正確には把握できないのです。
ではこれまでどうやって治療をしているのか。
実は、経験と手探りと試行錯誤でやっているというのが偽らざる事実なのです。
病態の真の(真に近い)状態を把握しより適切な治療をしたい—こう思うのは、歯科医として自然な欲求なのです。
さて、歯科用のCTはコーンビームCTといわれ、医科の一般的なCTと比べ、
・装置が小型
・照射範囲は限局されている
・より細密(0.1mm単位)な画像処理が可能
・金属等の影響を受けにくい
・放射線の照射線量が少ない
といった特徴があります。
この装置を使って、治療でよりよい結果が出せるか、あとは使う私たちの力量が問われますね。
がんばります。