VELscope ベルスコープ (光学式口腔がん検査診断システム)

  velscope_1973_edited-1.jpgこのブログで診療のお話をすることは初めてかもしれません。
 今年1月、念願のVELscopeをついに診療に導入することができました。
 これは、アメリカで開発された口腔内のがん組織をスクリーニングする検査・診断システムです。
(ウィキペディア http://ja.wikipedia.org/wiki/VELscope)
 口腔粘膜に特定の波長の光を当てると、健康な組織は蛍光発光し青緑色に、がん組織や前がん組織は蛍光発光せず暗色に見えるという性質を利用した検査診断システムです。患者さんには、全く苦痛を与えずに検査できます。
 実は数年前、絶対にがんではないだろうと思っていた患者さんが、大学病院の口腔外科での生検の結果、前がん病変だったという、歯科医としてショックな体験をしました。
 最も口の中をみる機会の多い歯科医が、口腔のがんを見つけられなかったら歯科医の意味がないではないかと、思うようになりました。
 説得力ある根拠なしに安易に大丈夫とも言えない一方で、炎症や明らかに良性の腫瘍までがんを疑っていては、これまた患者さんに無用な心配をさせるだけです。
 2年ほど前、テレビでこのVELscopeを取り上げた番組を見て、どうしても欲しくなりました。しかし、このシステムは日本では厚生労働省の薬事法の認可を受けていないので(2011年現在)、国内で購入することはできません。
 そこでインターネットで探した医療機材の輸入業者を通じて、アメリカから直接購入しました。
 正月早々荷物が届いたときは夢のような気分でした。
 使い方は簡単なのですが、VELscopeを通して見た視覚的な識別にある程度の知識が必要で、付属のDVDと辞書を片手に数時間格闘、大まかな理解はできましたが、自分の英語力なさを改めて痛感しました。
 いずれにしても、このシステム導入が患者さんのお役に立てれば幸甚です。

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