一昨年、お陰様で青葉歯科は開業30周年を迎えました。
そして私も還暦を過ぎ、35歳で老眼と診断された私の目は、さらに近くのものが見えなくなりました。
こんなことを書くと、皆さんは不安になりますよね(笑)。
たぶん皆さんは、診療室でスコープをつけていない私を見ることはないと思います。
普段は2倍拡大のスコープをつけていますが、処置によって2.5倍、 3.5倍、さらに5.5倍と使い分けています。
倍率が上がると細部までよく見えて助かるのですが、今度は周囲の状態が目に入らなくなります。例えば、皆さんが痛そうな表情をしていても気づかないことがあるのです。ですから時々視線をずらして周囲を確認しています。
さて、この30年で歯科診療の事情はずいぶん変わりました。
歯の神経の治療では、手用のファイル(針をらせん状に加工し、いろんな色のハンドルのついたもの))をほとんど使わなくなりました。トルクをコントロールできるモーターを使っているので、以前とは疲れや効率の面で雲泥の差があります。
レントゲンもデジタルになり、以前のフィルムのものに比べ、線量も1/10ほどになっています。
またCTも導入していますので、必要な時は目で見えない内部まで3次元で確認できます。
歯科ユニット(診療時に座る機械一式)も全て4回ほど交換しましたが、最近のものは、内部の水が自動的に消毒されて出てきます。
器材の滅菌も格段にシステム化され、皆さんも私たちもより安全になりました。
以上は設備面での変化ですが、何よりも変わったのは、私が歯を削る頻度です。
30年前は、ほとんどの方の歯を削り、それこそが私の仕事だと思っていました。 ところが最近はどうでしょう。
もう何年も私に歯を削られたことがない方のほうがずっと多いと思います。
私がタービン(歯を削るハンドピース)を使うのは、おそらく10人に1人くらいではないでしょうか。
これは、むし歯自体が減ってきたことも一因ではありますが、治療の概念が変わってきたことが大きく影響しています。
CO(シーオー)といって、いわゆるむし歯予備軍の扱いが変わり、あやしいむし歯はすぐに削らず、経過をみるようになったのです。
青葉歯科では、多くの方は定期的に通院されていますので、COの歯はそのたびにチェックして、進行していない場合は何も処置をしないのです。
また、歯周病に関しても、どうしても残せなかったり、あるいは周囲の歯に悪影響のある歯以外はほとんど抜きません。
つまり、30年前と比べ、歯科医である私の出る幕が極端に少なくなったのです。
ちょっと寂しい気もしますが、痛そうな顔をしている方も減り、衛生士や皆さんの声が診療室に響き、リラックスした雰囲気に包まれる時、やはりこの仕事をしてよかったと実感しています。
これからも、皆さんのお口の健康を管理させていただきますので、よろしくお願いいたします。
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