日本の医療保険は通称「健康保険」と呼ばれますが、実態はいわゆる疾病保険です。
つまり、病気になったりけがをしてはじめて保険が適用されるのです。
健康な人が、自ら進んで検査を受けるといった「予防」的な受診は、健康保険の適用にはならないのです。
でも、こういった健康に対する積極的な受診は、疾病の重症化を防ぎ、結果的に国の医療費の節約に貢献する行為ですから、正当に評価されてしかるべきだろうと思います。
ヨーロッパの国々の中には、定期的な検診を受けている国民に対し、その後の受診の際の窓口負担を一部割り引く制度を導入しているところもあります。
日本も政権が代わったこともあり、早期発見で疾病の軽症化をはかる施策として、国には是非検討して欲しいですね。
さて、その予防ですが、狭義(純粋な)の予防と再発防止(管理、またはメンテナンス)とがあります。
前者は、健康な人が健康を維持できるように検査等を受けることですが、こういう方は実は比較的まれです。
またそういう方の中にも、周囲に疾病に罹患(りかん=かかること)した人がいたり、疾病に関するインパクのある情報を得て、それがきっかけで検診を受けるというケースが多いのではないでしょうか。
後者は、自分自身が何らかの疾病に罹患し、その経験から疾病の再発や悪化を防ぐために定期的に検診を受け、必要に応じて処置を講じるというものです。
慢性疾患や生活習慣病に罹患した場合、この再発防止というものがとりわけ重要となります。
「無病息災」をもじった「一病息災」という言葉があります。
「ある程度の年齢になると、誰でも一つくらい病気をもっているものだ」という解釈が一般的ですが、より積極的な解釈として、「ひとつの疾病に罹患したことを契機にして、改めて健康を考える」という意味合いもあります。
病気になってはじめて健康の意味を知るのが多くの人間です。
苦痛や体裁に耐えかねて受診する方もいるし、それに応えるのも当然医療機関の使命です。そして、これまではそれが医療機関の行う行為のほとんどでした。
これまで何度も触れてきましたが、一方で、予防や再発防止のために受診する方は年々増えてきており、青葉歯科でも最近では来院する方の2/3以上になりました。
長い方になると、10年以上も定期的に受診されている方も少なくありません。
歯科では、歯周病にいったん罹患した場合、その後改善したり小康状態になっても、放置すると再発する可能性が高いのです。また、一度歯周病になった部位(場所)は再発もしやすいものです。
それを定期的にチェックすることで、これまでの変化(推移)を確認し、再発しそうな部位の病状の悪化を食い止めることもでき、またその都度注意べき箇所の確認もできます。
来院するのはほんの一時ですが、それ以外はご自分で管理(メンテナンス)しなくてはなりません。
定期検診により、メンテナンスの重点部位を確認し、ひいては生活習慣のチェックにも役立てていただければと願っています。
歯科医院に通う理由が「疾病」から「健康」になるよう、私たち 今後も努力致します。
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