ビスフォスフォネート系薬剤に関する注意

09年6月



 内科や婦人科において、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)やガンの骨転移、またベーチェット病等の治療薬として、ビスフォスフォネート系薬剤(以下BP系薬剤)が一般的に使われています。
 なかでも骨粗鬆症の患者さんに対しては、骨折の予防を目的とした投与もごく日常的に行われているようです。
 ところが最近、歯科の分野では、BP系薬剤を服用している患者さんで、抜歯や口腔粘膜の潰瘍による骨髄炎、また歯科インプラントの予後不良等の報告が注目されるようになってきました。
 これらは、ビスフォスフォネート系薬剤関連顎骨壊死(以下BRONJ)による症状とされ、BP系薬剤により硬い骨が作られる反面、骨の新陳代謝が低下することによるのかもしれませんがはっきりしたことはまだわかっていません。
 BRONJに関しては、すでに日本歯科医師会、日本口腔外科学会、さらに製薬会社はパンフレットを作成し、歯科医に注意を呼びかけています。
 BRONJの発生頻度は高くはないものの、いったんおこるとしの処置は難しく、歯科医は現在、BP系薬剤を服用している患者さんに対し、抜歯やインプラントの処置を自信をもって行えない状況にあります。
 内科的に優れた薬剤が歯科では重大な副作用があるという事実は、一般の方々はもちろん、内科医の中でも十分認識されてはいない場合があるようです。
 BP系薬剤は、内服より注射による服用の場合にBRONJの発症率がより高いとされていますが、長期にわたる内服も発症率が高くなるようです。
 さらにこのBP系薬剤は、いったん投与されると体内に蓄積し、短期間ではBRONJの危険性は解消されないようです。
 私たち歯科医は内科医等に対し、BRONJに関する理解を呼びかけ、BP系薬剤投与に先立ち、必要な抜歯やその他の処置を済ませるよう患者さんに指示するよう、お願いしています。
 また同時に、服用している患者さん自身がそのことを理解し、歯科を受診する際にそのことをぜひ歯科医にもお申し出いただきたいと思います。
 特に骨粗鬆症の治療を受けている方は、ご自分が服用している薬がBP系薬剤かどうか、主治医に確認されるよう、お願いします。

 ちなみに、BP系薬剤の添付文書には、歯科または口腔外科で治療する際の注意点として、以下の記載がされています。

(1)歯科処置の前にBP系薬剤が投与されていないかを確認すること、
(2)投与している場合には、侵襲的歯科処置をできるだけ避けるか、患者の状態とリスク因子を十分考慮し判断すること、
(3)口腔内を清潔に保つように指導すること、
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