ガムは歯に悪いか


 かつてガムは、アメと並んでむし歯を作りやすい食品の最右翼とされていました。
 糖分を含んでいること、形が柔軟に変形すること、そして比較的長時間口の中に留
まることがその理由です。
 柔軟に変形しながら、ブラシの届きにくい奥まったところに糖分を送り込み、しか
もその状態が比較的長時間続くとなれば、いかにもむし歯の原因になりそうですね。
 最近はガムのこの性質を逆手にとって、むし歯予防に役立てようとする方法も普及
してきました。
 コマーシャルでもよく見る「キシリトール」や「リカルデント」といった成分(商品
名になっているものもあります)を含んだものがそれです。
 おさらいをしますが、むし歯は、口の中にいる細菌が糖を分解して酸を生成し、そ
の酸によって歯質が溶かされる病変です。
 キシリトールは糖アルコールの一種で、甘さは砂糖と同程度、カロリーは約70%です。
むし歯菌の代表といわれるストレプトコッカス・ミュータンスという菌はキシリトー
ルも摂取しますがこれを代謝できないため、自らのエネルギー源をして利用できず、
その結果活動が低下してしまいます。また、他の糖アルコールにはない特徴として、
唾液中のカルシウムを歯に沈着させる作用があります。
 もうひとつのリカルデントは、牛乳のタンパク質であるカゼインから作られた成分
で、正式にはCPP-ACPとよばれ、この成分も歯質の再石灰化(歯の構成
成分を取り込むこと)を促進するといわれています。特にフッ素がある濃度で存在する
とこの作用はさらに促進されます。
 いずれにしても、キシリトールやリカルデントといった成分が期待通りに作用する
ためには、1日に3?4回これらを含有したガムやタブレットをかむ必要があります。特
にガムの場合、口の中にある時間が長いため、その効果が期待できるという面もあり
ますが、一方でかんでいる間、唾液の分泌が促進されるというメリットが相当大きい
ように思います。唾液には自浄作用(有害物質や汚れを洗い流す役割)や緩衝作用(刺激
物等の作用を和らげる役割)、免疫作用などがありますから、唾液の分泌が促進される
だけでもかなりのむし歯予防効果が期待できます。
 逆の例ですが、一旦歯を失い始めるとその傾向が加速度的に早まることがあります。
これは、むし歯を作るような口に中の環境や習慣が改善されないことに加えて、かみ
にくくなる結果咀嚼回数が減り、唾液の分泌が低下することが大きな原因と考えられ
ます。
 要するに、咀嚼回数を増やすことは口の中の健康にとてもプラスになるということ
です。ただし、食物が常時口の中にある状態=だらだら食いは、最悪ですのでくれぐれ
も勘違いしないように。

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