最近のインプラント事情


 インプラントという名前は、最近ではずいぶん一般の方にも定着してきました。
この言葉は、もともと英語の[in]と[plant]をつなぎ合わせた造語で、そのまま直訳すると「中に埋め込む」という意味になり、当初日本では嵌植(かんしょく)義歯と訳されていました。
 歯科領域におけるインプラントは、既に40年以上の歴史をもっていますが、特にここ10〜15年で目覚ましい発達を遂げました。 最も注目すべき点は、生体に対するダメージ(侵襲:しんしゅう)を極力少なくし、しかも骨と接着(骨との一体化=オセオインテグレーション)させることが可能になったことです。このことにより、術後の痛みが少なく、そして機能的にも満足できる状態を長期にわたって維持できるようになりました。
 以前は、インプラントと自分の歯とを連結させる方法が主流でしたが、現在では、先の理由で維持力が増大したことにより、インプラント単独で咬合(かみ合わせを作る)させることが基本となっています。

 インプラントのメリットは、
*ブリッジのように自分の歯を削って支えにする(健康な歯を犠牲にする)必要がないこと
*自分の歯にかなり近い感覚で硬いものも咀嚼できること
*異物感が小さいこと
*見た目もかなり自然感が回復できること
*将来インプラントが脱落した場合でも、ブリッジ等、第二の方法がとれること

 一方でデメリットは、
*手術が必要なこと
*保険外のため、費用が高いこと
*ある種の金属アレルギーの方には使えないこと(インプラント自体は、機械的化学的に安定したチタンを素材にしている場合がほとんどです)

*一般的には手術後、処置が完了するまで2、3か月の期間が必要なこと
*やむを得ず除去した場合、骨の欠損や吸収が大きくなること
*自分の歯以上にきちんとした管理が必要なこと等が挙げられます。

 ごく最近では、幹細胞を使った組織の培養の実験も行われ、将来は、歯を失った部分に自分の組織から培養した歯を移植するなどということも可能になるかもしれません。
(自分の歯の移植は現在でも日常的に行われています)
 この研究も緒についたばかりですから、歯を失った部分への最も進んだアプローチとしては、インプラント療法が当分の間、主流であることは間違いないでしょう。ただ、誰でもどんな条件でもできるというものではありませんので、歯科医に相談
し十分な診査を受け、納得した上で治療を始めることが大切です。

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