歯周病は治りますか?


「歯周病とポケットについて」
 歯と歯ぐきの境目の溝が病的に深くなったものをポケット(歯周ポケット)といいます。
ちなみに、正常な溝(生理的歯肉溝)の深さは2mm以下とされています。ポケットの深さが2~3mmならば、通常のブラッシングで毛先が中まで届きますから、本人による歯垢をはじめとする起炎物質(炎症の原因となるもの)の除去は比較的容
易です。しかしたとえば5mmになると、毛先をポケットの底まで届かせることは難しくなります。したがって、ポケットの深さ2〜3mm以下を目標にするのは、自分で管理できる状態にするためです。
 
 歯ぐきが少し腫れて、3~4mmのポケットになっている場合、正しいブラッシングでポケット周囲の歯垢(プラーク:細菌のかたまり)をある程度除去することにより、比較的早期に炎症が消え、結果的に2〜3mm以下の健康な状態にすることができます。
 しかし、5~6mm以上のポケットの場合、かなり丁寧にブラッシングをしても、毛先はポケットの底までは届かず、結果的に常にその部分に起炎物質が残った状態が続き、炎症が消えません。したがって、この深さ以上のポケットがある場合、定期的にその部分の細菌と汚れを除去して、歯周病を進行させないようにすることが大切です。実際には、スケーリング(歯石の除去)をはじめとする起炎物質の除去(デブライドメントといいます)、ポケット内の消毒のためにレーザーや高周波治療、洗浄などがこの目的で行われます。ただし、喫煙、糖尿病などの因子が加わると、どうしても歯周病の進行は早まります。また、降圧剤などの服用があると、歯肉の腫れがひきにくくなります。

「歯周治療の目的」
 スケーリングといわれる歯石、歯垢の除去は、起炎物質の除去を目的としています。しかし深いポケットがある場合、スケーリングだけでは内部の起炎物質を除去しきれません。スケーリングである程度浅い部分の起炎物質を除去し、炎症を少なくした後、ポケットの最も深い部分の起炎物質を除去する必要があります。この目的で行われる処置が、狭い意味の歯周治療といわれるものです(広い意味では、スケーリングも歯周治療にはいります)。歯周治療とは、深いポケットを浅くし、その部分に残っている起炎物質を確実に除去し、それにより歯周病の進行を抑え、可能な限り本人が管理できる状態を作ることです。
 歯周治療により5-6mmのポケットが3mm以下にまで改善することもあります。しかし、ポケット周囲の複雑な形態や清掃器具の挿入の難しさから、歯周治療で完全に深いポケットを除去することには限界があります。したがって、歯科医院での定期的な管理、つまり起炎物質の除去が重要となります。逆に管理がしっかりできていれば、5mm以上のポケットがあっても炎症が進行しないという場合も珍しくありません。

*歯ブラシの持参
 歯周治療のメインテナンス(管理)の段階にはいったら、デブライドメントのため、原則的にご自分の歯ブラシを持参していただくことをお勧めします。
 ブラッシングの感覚、汚れが除去できた感覚を体得してもらうにも有効だと思います。
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