顔のゆがみ


 顔が完全に左右対称という人はまずいないと思います。しかし、左右の違いがあまりにも著しい場合、やはりいい状態とはいえません。顔面を含めた頭蓋骨とそれに付着する筋肉はほぼ左右対称に存在しています。
 しかし筋肉の運動は左右で対称に動くとは限りません。頭部を回転させたり横に傾けたりする場合には、左右に対称に存在する筋肉が多くの場合片側だけ働いたり、逆の動きをします。ですから、左右の動きが違っても不思議ではありませんが、あまりに違い過ぎるとゆがみを生じます。
 一つの例として、ほとんどの場合、心臓は左側にありますから、右を向いて心臓を上にして寝る方が心臓への負担が軽くなるため、無意識のうちに右向きで寝ることの方が多くなる傾向にあります。するとあご自体の重みであごが右に偏りやすくなります。すると、睡眠中に歯を食いしばる癖がある場合、右での上下の歯の接触が強くなり、右の筋肉に緊張が生じ、これが続くとあごが右に寄った顔貌になりやすくなります。
 同様の理由で、頬杖をつく癖も顔のゆがみの原因となります。ことに骨格や筋肉が成長する成長期には気をつけなくてはなりません。
 最近、顎(がく)関節症という名前をよく耳にしますが、これはあごの関節やその周囲の組織にゆがみが生じ、あごの痛みや開口障害があらわれる状態をいいます。日常的に頻繁にみられる疾患です。むし歯や歯がないことが原因で、反対側ばかり使っていると顔のゆがみを生じたり、顎関節症になりやすくなります。また、コーラスや大きな口を開ける機会の多い方にも時々起こります。日常的な運動範囲を超えたあごの動きで関節部分がダメージを受けたものと考えられます。同じく、普段あごをあまり使わないのに、急激にあごに負担をかけた場合などにも起こります。
 咀嚼(そしゃく)に際し、左右まったく同様に使っている人はごく稀ですが、自分でどちらを使うことが多いかは知っておく必要はあるでしょう。そして普段から、かみ癖のある側でそしゃくしているのに気づいたら、その反対側も使うよう心掛けることが大切です。ただし、急に硬いものを咬むのはひかえ、ご飯のようなものからゆっくり咀嚼するようにしましょう。
 顔のゆがみは単に審美的な理由からだけでなく、顎関節症等、機能的な面からもチェックが必要です。
04.05
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