西洋医学の限界2
前回は、西洋医学の限界についてお話しました。
ポイントの一つは、生体も地球と同様、いろんな生物の微妙なバランスの上に成り立っているため、人間にとって有害だからと、ある種の細菌のみを徹底的に排除すると、他の細菌や真菌が異常増殖し、新たな感染症を引き起こしかねないということでした。
もうひとつは、排除抹殺しようとした細菌の中に耐性菌を作ってしまい、抗生物質がまったく無効な状態を招く可能性があるということでした。
今回は、では薬で徹底的に排除しようとすると新たな問題を引き起こす細菌に対して、どのように対処すべきかということについて考えてみたいと思います。
「プラークコントロール」という言葉をご存じの方は多いと思います。
プラークとは歯垢のこと、コントロールとは管理とか制御という意味ですから、要するに歯垢の為害作用を生体が許容できる範囲にとどめておくということです。
歯垢とは、口の中に残った糖分を栄養源として、その中で細菌が高密度に増殖したものをさします。
言い換えればプラークコントロールとは、生体と細菌(歯垢)の力関係において、生体が細菌の病原性に影響を受けない状態を維持することでもあります。
ですから、細菌に対する生体の許容量は人により、またその人のその時々の健康状態により当然異なります。健康ならば生体の防衛反応が十分働きますから、健康な状態を保つことは基本中の基本です。
むし歯や歯周病の原因菌を持っていない人も中にはいますが、ごくごくまれです。
ですから、一般的にはこれらの原因菌はいることを前提に考えるべきでしょう。
この菌は常在菌と呼ばれ、健康な人の口の中に存在していて、通常の量では為害性を持ちません。
これらの原因菌が生体に対する為害性を持つには、増殖しやすい場所があり、常時栄養分の補給が行われる必要があります。
増殖しやすい場所とは、むし歯では歯の溝や歯と歯の隙間、あるいは歯と歯ぐきの境目など狭く奥まった所であり、歯周病ではポケットの内部ということになります。
こういった場所は、唾液が届きにくく、その洗浄、緩衝、殺菌作用が及びにくい所で、そこに糖分を残さないことが理想なのですが、細菌一つの大きさは約1ミクロンですから、完全に除去することのほうが非現実的です。
ですから、その部分での細菌の数と密度(密度が低ければ、細菌が作る酸や酵素の濃度も低くなります)を一定量以下に抑えておくことが大切です。
そのためには、ブラッシング等で機械的に細菌の数を減らすことと同時に、細菌の栄養源である糖分の供給を断つことが必要です。摂取する糖分の全量を減らすこと以上に、連続して、つまりだらだらと甘いものを口にしないことです。
少々甘いものを食べたからといってむし歯や歯周病が急にできたり進行することはありません。
要は、むし歯も歯周病も生活習慣病ですから、これらの疾患が起きやすい状態を放置した結果生じるものなのです。
そしてひとたびむし歯や深いポケットができると、唾液の作用やブラッシングが及びにくくなるため、そこは細菌の温床となり、進行は加速度的に速まります。
もうひとつ、唾液の状態も重要なファクターです。
唾液の分泌量が減ったり、流動性が悪くなる(ねばつくようになる)と、むし歯や歯周病が発生進行しやすくなります。
興奮していたりストレスがかかると唾液の分泌は抑制されますから、自分でできる予防としては、リラックスして楽しく食事をするよう心がけることです。
自覚症状がなくても、年に一度はむし歯や歯石のチェックをしておくことも大切です。
細菌を目の敵にしないで健康が維持できるよう、心がけたいものです。
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