歯科の保険診療と自費診療


 医療行為である診療において、健康保険が適用される診療を保険診療、適用外のものを自費診療といいます。
厚生省は、日常必要な医療はすべて保険でカバーされていると言っています。歯科医療においても、たしかに一般的な処置等にはおおむね保険が適用されています。しかし、一般医科にくらべると、歯科では保険の適用外になっている処置等の割合がかなり多いのも事実です。保険診療にはかなり細かい規定があり、一見同じような処置等であっても、この規定から少しでも外れると、保険の適用は認められません。歯科の例でいえば、決められた本数以上におよぶブリッジ、規格外の金属やポーセレンを使用したクラウン等は保険の適用から外れます。また、先端医療、特殊医療といったものはおおむね保険外診療つまり自費診療になります。
 たとえば、歯を失った部分の顎骨に人口の歯を植立するインプラント、歯を支える骨をはじめとする組織を再生させるためのGTR,GBRといった処置、特殊な維持装置のついた義歯等は自費診療となります。
 また、美容的要素が高いとされている(実際には医療とみなされるべき場合も多いのですが)矯正や最近流行の審美歯科といったものも自費診療です。さらに、健康保険とはいうものの、実質的には疾病保険であるため、予防的な処置も現在のところ、保険給付の対象外となっています。
 さて、健康保険が適用される場合には、患者の窓口での負担は、実際の治療費の1割、2割、3割、または定額で1回530円といった金額になります。一方自費診療では、簡単にいえば治療費の10割、つまりすべてが患者の負担となりますし、これに消費税等が加算されますから、感覚的にはかなり高めの料金となります。
 では、保険診療と自費診療では、質的にどんな違いがあるでしょうか。保険で十分満足のいくケース、逆の言い方をすれば、せっかく自費にしても保険の場合とはっきりした違いを実感できないケースも少なくありません。ですから、処置をする前にこの違いや料金について歯科医から十分な説明を受けることをお勧めします。そして、あなたがどういった処置を望んでいるのかをきちんと歯科医に伝え、それと自費診療の内容が合致するのであれば、自費診療の処置後に後悔したり処置内容に不満を抱くといった不幸なケースも少なくなると思います。
 保険診療の質が悪いというわけではありませんが、保険の診療報酬が低く押さえられているための制約を受けるケースがあることも否めません。
 最後に、現行の保険制度にもいろいろ改善すべき点はありますが、だれでもどこでも、一定水準の医療を享受できる点で世界に誇れる制度です。時代や疾病の変化に即応してよりよい内容になるよう、この制度を発展させていくことが求められています。

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