さて、11月23日、恒例のCDコンサートを開きました。
「師走の」と形容詞がついていますが、今回は都合で霜月に開催しました。
今回は参加者が5名と少なかったのですが、それもまた、個人的に立ち入ったお話もでき、有意義でした。
さて、今回取り上げた各曲について、聴いてほしい、あるいは観て欲しいところを、かなりのバイアスをかけながら、コメントしてみます。
プログラム
1. たそがれマイ・ラヴ (CD)
大橋 純子
2. ブラームス バイオリン・ソナタ
No.1 op.78 No.2 op.100 No.3 op.108 (BD)
ルノー カプソン アレクサンドロ カントロフ RD:2023
3. ハイドン 弦楽四重奏曲
No.76 op.76-2「五度」No.77 op.76-3「皇帝」 (CD)
イタリア弦楽四重奏団 RD:1976
4. モーツアルト 交響曲No.25ト短調 K.183 (CD)
ネヴィル・マリナー指揮 RD:1978
アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールド
5. バッハ 無伴奏チェロ組曲 (BD)
ミーシャ・マイスキー ( Vc.) RD:2022
6.First Love (CD)
キャスリーン・バトル RD:1993
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- たそがれ マイ ラブ
大橋 純子は1年前に亡くなりました。
改めて聴いてみると、発声のすばらしさ、かつ自然なビブラート。
このCDでは、オリジナルとは一味違うボサノバ風の伴奏。パーカッションとケーナが秀逸。
2. ブラームスのバイオリン・ソナタ
現在、最も注目され、脂の乗っているバイオリニストのひとり、ルノー・カプソンとアレクサンドロ・カントロフ。ルックスもなかなか。ちなみに、ピアニストのカントロフは、我々が学生時代にDENONブランドで注目されていたバイオリニスト、ジャン・ジャック・カントロフの子息。
今、4K8Kと映像の細密化が進んでいますが、この映像を見る限り、ロケーションと映像のアングル、光の使い方のほうが、観る側への説得力に大きなファクトになるような気がします。
3. ハイドン(1732-1809)の四重奏局の愛称「五度」の冒頭の(5度下がっている) と、
4.のモーツァルト(1756-1791)作曲交響曲第25番の冒頭が、モチーフとしてあまりにも似ているので、ネットで調べてみました。
するとやはり、「モーツァルトはハイドンのこの曲を知っていて自分の曲に取り入れたのではないか」という推測が、その筋の人から出されていました。
モーツァルトがハイドンを尊敬していたのは事実で、証拠としてモーツァルトはハイドンへの献呈として「ハイドンセット」の名で6曲からなる室内楽セットを作曲しています。
5. 現代のチェリストのヴィルトオーゾ、ラトビア出身のミーシャ・マイスキーのバッハ無伴奏チェロ組曲
特に個人的に思い入れのある第2番が収録されています。
聴くと、学生の頃に初めて聴いた時を彷彿とさせます。
ひとり静かな夜に聴くと、心拍数が下がり、己と対話できそうな、そんな曲です。
6. 最後は、すでに若くして引退した伝説のオペラ歌手、キャスリーン・バトルの「First Love」つまり初恋
「砂山の砂に—」は石川啄木の詩。ちなみに、島崎藤村の初恋は「まだあげ初めし前髪の—」。
日本語を知らないバトルが、どれほどの思いを込めて歌い上げたかはわかりません。
しかも、beを「ベ」でなく「ビ」と、meを「メ」でなく「ミ」と英語訛りで発音するところもちょっと笑えます。が、さすがに、比類なきこの歌唱力は何度聴いても魅了されます。
では、今年も残り少なくなってきましたが、健やかにお過ごしください。
2024年霜月