歯の矯正Q&A

2014年2月



 近年、矯正治療(歯並びの治療)が一般的に行われるようになってきました。
 治療を始めようか検討する際、当然不安もあることと思います。
 よく質問されることを挙げてみます。
 

 矯正に関するQ&A
Q1.歯を抜いても問題ない?
 抜かずに歯が並び、咬合(かみ合わせ)も確立し、口元の見映えも改善できれば、それに越したことはありません。
 それらがどうしても難しい、あるいは不可能な場合、やむをえず抜歯という手段を選びます。
 抜歯により本来の歯の数より減るわけですから、むやみに歯を抜いてよいわけではではありません。これは親知らずの抜歯も同様です。
 抜歯に関する最も多い心配は、かむ力が弱くなったりかみにくくなるのではないか、ということだと思います。
 しかしこれに関してはほとんど心配はいりません。なぜなら、歯並びに問題がある場合、すでに本来のかむという機能が十分発揮できていない場合がほとんどだからです。つまり、歯の数はあってもそれらがきちんとした位置や角度でかみ合っていない場合、本来のかむ力は発揮できていないのです。
 たとえば、上下の歯同士が90度でかみ合っている場合と180度でかみ合っている場合では、かむ力(咬合力)が大きく異なります。前者ではかんだときに力はそのまま歯の垂直方向に働きますが、後者では分力となって水平方向にも働きます。これは、かむ力が十分発揮できないばかりか、水平方向への力が歯をさらに傾斜させる原因にもなります。
 抜歯は、そのメリットとデメリットを比較し、メリットが上回った場合に初めて選択する手段なのです。
 
G2.矯正治療に伴う痛みはある?
 個人差はありますが、少なからず痛みを伴います。
 しかし、この痛みのほとんどはワイヤーを装着した3日間から1週間がピークで、その後はほとんどの場合痛みが和らいできます。
 装着した当初は、動いていない歯を動かす力がかかりますから、歯の周囲の組織(歯根膜)の圧迫される側に充血が起こり、これが痛みの原因となります。その部分にかむ力が働くとさらに圧迫され痛みます。歯が動き始めるとその部分にかかる力は一定になりますから、圧迫に対応する代謝(組織の改造)が順応し、痛みは感じにくくなります。クルマの加速時にエンジンに負荷がかかり、一定の速度になると負荷が少なくなるのと似ているかもしれません。

Q3.治療に要する期間はどのくらい?
 矯正治療の治療期間は、動的治療期間(矯正装置により歯を動かしている期間)と保定期間(治した状態を維持する期間)に分けられます。
 前者がおおよそ1年半から2年くらい、後者はそれ以上となります。
 ただ、保定期間中は多くの場合日中は装置をつけません(つける場合もあります)し、チェックのための通院は安定すると3ヶ月毎になりますから、あまり苦になることはないと考えられます。
 なお、動的治療は2回に分けて行う場合もあります。
 また、保定期間中にきちんと装置を装着していないと後戻りすることもありますので、装置の正しい装着とチェックは重要です。

Q4.矯正治療により顎関節症は治る?
 矯正治療によりかみ合わせが改善され、バランスのよい咀嚼が可能となり、結果的に顎関節症の症状が緩和することはあります。しかし、ときには逆に症状が悪化する場合もあります。
 それは、矯正治療の精度はmm単位ですが、咬合(かみ合わせ)の精度は10μ(1/100mm)単位で影響が出るからです。
 ですから、顎関節症の治療を目的として矯正治療を行うことは危険です。

Q5.矯正治療のゴールとは?
 上下の歯のかみ合わせ、隣同士の歯の接触が緊密で、口元が自然な状態が保たれていることです。
 この状態を維持するためには、リラックスしている状態で、上下の唇が軽く接触していることも重要です。それは、歯並びは内側からの舌の力と、外側からの唇と頬(ほほ)の力とのバランスで維持されるからです。

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