歯の着色と変色

2010年8月



 最近はホワイトニングブームといいましょうか、「歯を白くしたい」という方がとても多くなったように思います。
 時にはこちらから見て平均的な色だと思っても、本人が「歯の色が黄色い」と悩んでいる場合もあります。
 当医院では、過酸化尿素を使用する現在のホワイトニングについては、回数を重ねた場合、歯への害が否定できないとの危惧から行っていません。
 ところで着色とは歯の外から色素が沈着したものをいい、変色とは歯自体が内部から色素沈着したものをいいます。

*まず着色について
 タバコのヤニやコーヒー、紅茶、ウーロン茶等に含まれるタンニン(茶しぶ)が歯につくと、黄ばみや色素沈着の原因になります。
 タバコのヤニはニコチンやタールからなっていて、褐色に変化し唾液中のカルシウムなどと結合し歯の表面に固着してしまいます。
 これは歯石をつきやすくする原因にもなり問題です。
 コーヒーや紅茶のタンニンも放置すれば、ヤニと同じように黄ばみやくすみの原因になります。
 予防には、禁煙は当然ですが、毎日の丁寧なブラッシングが重要です。
 その他、色素の多い食品を常食している場合も、色素沈着を起こす場合があります。
 さらに、抗生物質を長期にわたって服用すると、口腔内の細菌のバランスが崩れ、色素を産生する細菌の数が増え、黒や緑の色素沈着が起こる場合があります。
 色素沈着の場合、研磨剤の入っている歯磨きペーストを使ったり、あるいは歯科医院で研磨すれば、かなりの部分は除去可能です。
 ただし、研磨剤が入ったペーストはいわばクレンザーですから、使いすぎると歯の表面に細かい傷を作ったり、極端な場合、歯を削り取ってしまう危険性があります。
 心配なら、歯科医院で研磨してもらうほうが安全でしょう。

 色素を含んだ飲食物を摂った場合、食後早めにブラッシングすると色素沈着を防ぐことができます。
 また、必ずしも色素の多い食品を常食していなくても、ブラッシングがきちんとできていない場合、歯の表面がとけて粗造になり、その部分に色素が沈着しやすくなることもあります。同じ部分に色素とプラークがついている場合は要注意です。
 さらに、歯科治療でつめた材料が変色することがありますが、研磨やつめ直しでほとんどの場合解決できます。

*変色について
 神経をとった歯は、放置すると色がくすんできます。この場合は、表面だけ薄く削って白い材料でより白く見せることもできます。
 また、テトラサイクリン系の抗生物質を歯の形成期(12才頃まで)に長期に服用すると、歯が灰色に変色する場合があります。この場合は、ホワイトニングでも明らかな改善は難しいようです。
 
 歯を白くする効果を謳っている歯磨きペーストもありますが、変色した歯を白くすることはほとんど期待できません。

 また、高齢化するに従って歯の色は濃くなる傾向があります。肌の色と似ているのかもしれません。

 私の個人的な意見としては、あまりにも白い歯は不自然だと考えています。
 歯肉の色が黒ずんでいたり、歯周病で歯肉が腫れているのに、歯だけ異様に白いタレントがテレビに出ることもありますが、決してきれいだとか、健康的だとかは思えません。
 歯の色と歯肉の色、肌の色とのバランス、あるいは引き締まった歯肉の形などが歯をきれいに見せるのではないでしょうか。

 先にも触れましたが、個人的にはホワイトニングや、色の改善のために歯を削って白いクラウンをかぶせることには否定的ですが、着色や変色が気になったら遠慮なくご相談ください。ごいっしょに、いい方法を探してみましょう。

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