矯正治療のご相談を受けるとき


2007. 3月

 お子さんを連れて来院した親御さんから、
「この子は、矯正した方がいいでしょうか?」という質問をよく受けます。
 まず、矯正のご相談を受ける場合、大きく分けて以下の3つのケースがあります。
1)学校の歯科検診で、矯正を受けるようにとの勧告があった
2)本人、もしくは本人と親御さんがともに歯並びを気にしている
3)親御さんだけが歯並びを気にしている
 学校の歯科検診では、本人もしくは保護者の方から、歯並びを気にしている旨の申し出があった場合に限り、受診を勧める旨の通知が出されることになっています。それは、一般的に矯正が医療保険の対象にならないためと考えられます。
 2番目の場合は、当初より家族として矯正の治療を望んでいるわけですから、比較的スムーズに治療を始めることができます。
 問題は3番目です。
 これは小学生の小中学年ではよくあるケースです。
 歯並びが乱れていたり噛み合せに問題があることは一般の人が見ても明らかなのに、本人はそれを気にしていなかったり、矯正をいやがっている場合です。
 こういう場合には、私はこの時点では矯正を勧めません。もちろん、今始めるのが一番いいのだがとは思います。でも矯正装置を入れるのは本人です。なぜ装置を入れなくてはならないのか、本当は入れたくないのに、と思いながら装置を常時つけているのは、本人にとっては拷問のようなものですので、精神的なストレスは相当なものです。また、治療に対し協力も得にくいですから、中断という最悪の事態も予想されます。
 治したいという気持ちがあればこそ、装置をつけるという苦痛に耐え、また少しずつ治っていく経過を楽しみにできるというものです。
 ですから親御さんには、多少時期としては遅いにしても、本人が治療を望んだり、そこまでではないにしても治療の必要性が理解できてから始めましょうとお話しています。
 一方で、矯正のご相談にみえた場合、私は歯並びの状態を大きく3つに分けます。
1) 特に問題がない場合
2) 問題はあるが軽度の場合
3) かなり問題があり、できれば治療をした方がいい場合
1) は、気になっている部分が自然に治るか、もしくは気にしなくてもいいのではという説明をしますが、それでも気になる場合は、定期的に通院していただき、経過をみてみます。
2) では、本人が治療を希望している場合には治療をします。
3) では、希望があればもちろん治療しますが、先のケースで本人が治療の必要性を理解していない場合には、説得を試みます。(例えば受け口など、早期の治療が必要な場合)
 ちなみに私は矯正のご相談を受ける際、目の前にいる方が自分の子なら治療をするか、あるいは様子を見るか、という観点で対応しています。
 これが最も正確な判断ができると信じているからです。

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