最近のデンタルペースト(歯磨き剤)の使い方



  つい最近まで、私はデンタルペーストの使用について、必ずしも使わなくてもかまわないと説明してきましたので、そのようにお聞きになっている方も多いはずです。
 それは、
* 研磨剤が含有されているため、間違った使い方をすると、かえって歯を磨耗させたりして害があること
* 界面活性剤や発泡剤、防腐剤を飲み込むことに少なからず抵抗があること
等が理由です。
 しかし最近は、研磨剤の使用をひかえたものや粒子が微細化されたものが
くなってきました。喫煙者が減ったことが要因の一つかもしれません。
 では後者の有害物質はどうかというと、こちらは残念ながらまったくゼロということはないようです。
 ただ、飲み込む量が問題になるほど多いかといえば、食器の洗剤と同様に考えてもいいのかなと思っています。
 デンタルペーストは、健康にうるさい欧米でも日本以上に量も種類も使用されているのです。
 したがって、先入観を捨ててメリットについて考えることも必要ではないかと考えるようになりました。
 これまでは、どうしても使いたいという方には、不要な磨耗を避けるために、朝昼の短時間のブラッシング時の使用を勧めてきました。
 でも、フッ素やキシリトール、リカルデントといった、歯の耐酸性(むし歯に対する抵抗性)を高めたり石灰化を促進したりする成分が含有されたデンタルペーストという薬剤を、唾液分泌が盛んな日中に使用するのではその効果が十分発揮できないのでは、と思うのです。
 むしろ、唾液の分必が低下し、したがってその緩衝作用も低下する睡眠前に使用するほうが効果的ではないかと。
 これらの成分は、子供のむし歯予防だけでなく、年配の方で露出した歯の根の部分のむし歯予防や知覚過敏(水等がしみる)の症状の緩和にも効果があります。
 夜のブラッシングには、かなり時間をかけて丁寧に行なっている方が多いと思いますが、薬としてのデンタルペーストはそんなに長時間つける必要はありません。
 今まで通り、歯ブラシできちんとブラッシングしたあとに、最後にデンタルペーストをつけてさっと仕上げて軽く口を漱(すす)ぐ、こんな方法もありかなと思います(あまり洗口しすぎると、せっかくの効果が低下してしまいます)。
 その時の歯ブラシは、汚れや細菌を除去する役目から、薬を届かせる役目に代わります。
 口の中の薬剤の残留がちょっと気になりますが、薬効と薬害を比べるとほとんど無視できるのではないでしょうか。
 ちなみにデンタルペーストをつけたブラッシングで不要な磨耗を起こさせないために、
*硬い歯ブラシは使わない
*横のストロークを大きくしない(ひじを固定して小さく動かす)
*ペーストは粒子の細かいものを使用(ざらざら感の少ないもの)
といった注意はこれまで同様です。
 でもフッ素同様、薬効に過剰な期待をすることは禁物です。
 私が最近実践している方法をご紹介しました。ご参考までに。
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