歯周病とのつきあい方


 治療から予防へ・・・・
 病気のメカニズムが解明されるにつれ、医療の中心は、疾病の治癒回復から疾病にならないようにする予防へとシフトする傾向があります。たしかに疾病にならないにこしたことはありません。しかし、現実にその疾病で悩んでいる人にとってはまず第一に、いかにしたらその疾病から解放されるだろうかということ、第二に、もし完全な治癒が難しいのであれば、いかにして疾病の進行をくい止め、小康状態を維持するかということが大きな関心事となります。
 cureからcareへという言葉がこれを言い表わしているといえるでしょう。前者を治療と訳すなら、後者は養生という訳がふさわしいように思えます(私の訳)。cureでは、患者本人は疾病と戦い、克服することが目標となります。
 一方careも養生も、ともに病気にならないように日頃から心掛けるという意味もありますが、その他に、病気による支配から肉体的にも精神的にも解放されている状態を維持する意味があるように思われます。もし完治しないのであれば、その疾病に支配されないために日常生活の中でどういったことに注意し、結果としてその疾病をコントロールするということが大きなポイントとなります。これも、より意味のある人生をおくるために大変重要なことだと思います。
 さて、歯周病についてですが、以前にもお話したように、むし歯と同様、現在ではそのほとんどが生活習慣病であることがわかっています。不十分なブラッシングが原因であることはもちろんですが、プラークの沈着しやすい食生活(軟らかい食品、糖分の多い食品)、糖尿病、喫煙、不規則でストレスの多い生活といった要因も大きく関わってきます。
 この要因の中で、自分の努力で解決できるものと、それが難しいものとにわけて考えます。自らの努力で解決が難しいもののについては、次にそれらを少しでも減らすようにこころがけましょう。歯周病という疾患をコントロールするための、生活のコントロールともいえます。惰性でなんとなく行なっている習癖を、自らの健康のために少しずつ改善する、そういう努力をすることでおのずと生活全体の健全化が行なわれるようになるものです。
 意志がとりわけ強い人を除いては、悪い習慣を断つということは実際にはなかなか実践できないことですが、コントロールすることは意識さえすればそう難しいことではないような気がします。それから、歯周病で深くなったポケットの内部をブラッシングだけで管理するのはほとんど不可能です。このことは、歯周病の手術後にもいえることです。したがって、歯周病の状態に応じて、1ヶ月、あるいは3ヶ月、6ヶ月に一度、定期的に通院して内部を清掃する必要があります。この処置はほとんど痛みをともないませんから、お口の健康管理と位置づけて実践されることをお勧めします。
どなたでも、髪は1、2ヶ月に一度カットしますよね。 お口の管理も同じように考えて下さい。

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