健康日本21をご存じですか?


『健康日本21』は、厚生省がこの春からスタートが計画されている国民の健康増進のための指標です。
 報告書には、生活習慣の改善、危険因子の低減、疾病そのものの減少をめざして、2010年における具体的な数値目標が挙げられています。

目標数値が示されたのは、
・栄養・食生活
・身体活動・運動
・休養・心の健康
・たばこ
・アルコール
・歯科
・糖尿病
・循環器
・癌
の9分野です。
 歯科の分科会報告では、高齢者の豊かな生活の必要条件として口腔機能の重要性を指摘し、歯を失う2大要因であるむし歯と歯周病の予防対策が示されています。
 この中には、生活習慣の改善といった自己管理、また保健所等による歯科保健情報の管理と並んで、「かかりつけ歯科医」等の歯科保健医療機関での定期検診や予防処置を受ける習慣の確立といった、かなり具体的な項目が明記されています。
 ちなみに、6024(60歳において24本以上の歯がある状態)という数値目標も記載されています。
 これは、これまで実質的には疾病保険(疾病があってはじめて保険の対象となる)であったわが国の健康保険が、ようやく予防に向かってシフトする可能性を示唆していると考えられます。
 もしそうだとすれば、医療史上画期的なことだといえましょう。
 長引く不況と財政難の中、政府は医療費の抑制に躍起となっていますが、本来、疾病を未然に防ぐことこそが国民の本当の願いであり、長期的には医療費の節約にもつながることに、政府もやっと気づいたと好意的に解釈したいと思います。しかし一方で、気になる点もあります。
 一つは、医療費抑制という政府の方向性が変わらない中で、予防が重要だとはいうものの、政府が医療費自体の総枠をそう簡単に拡げるとは思われません。
 したがって、現行の保険でカバーされている医療行為等の中から対象外として除外したり、医療行為に上限を設定したりして医療費の抑制をはかってくるものと思われます。
 さらにセルフケア、つまり自己管理という言葉が出されているところから、国民自身に自己管理責任を課してくるということも十分考えられます。
 このへんのニュアンスは実に微妙で、個人の健康意識の掲揚にもつながる反面、国の責任回避をも正当化しかねません。 したがって、国民がこれからの医療行政の動向に関心を持ち、チェックの目を光らせておく必要があります。いずれにしても、国民の健康意識が高まることはすばらしいことですから、私たち医療機関側も皆さんの予防や健康維持のための援助ができるよう、努力していきたいと思います。
2000/01
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