そうだったのか語源⑳  −人名−

人の名前は、親の思いや希望が込められていて興味深い。

健やかに育って欲しいという思いは、男子であれば健や健志、健司、健一といった名前に込められている。

美しい女性になって欲しいと願う親は、好子、美子、佳子、妙子、麗子といった名前をつけた。

一方で、「あぐり」という名前には意外な意味が込められていた。

「もうこれ以上要りません」という意味である。

もともとは、1800年代、東北地方の青森秋田の辺りで、「ものが充満した状態」を指す意味で使われていた言葉だとか。

「もうこれ以上子どもは要らない」という意味で、女子につけることが多かったようである。

「すえ」や「とめ」、「すて」といった音(おん)のつく名前には、同様の意味が込められていることが多い。

さて、欧米圏の人名も、意味にはこだわらず単に名前として受け入れてしまえばそれまでだが、意味を追求していくと、名前のつけ方が日本語にも通じる場合がある。

例として、ソフィアという女性の名前。

ソフィア=Sophiaはブルガリアの首都名にも使われている。

ラテン語、イタリア語ではそのまま「ソフィア」、フランス語ではSophieのスペルで「ソフィー」、ドイツ語で「ゾフィー」の音になる。

もともとギリシャ語で、知恵や叡智の意味があった。

ちなみに哲学を表すphilosophyは、phil-=愛する、好きと、sophy=知恵から作られた「知恵を愛する」という意味の言葉である。蛇足ながら、phil-は白血球のneutrophil=好中球の使われ方と同じで、philharmonyも同様でハーモニーを好むといった意味である。

閑話休題。

つまり、ソフィアという名は日本名では知恵子に相当する。

ついでに、上智大学はSophia Universityの日本語名で、「智」の字が当てられている。

次に、音楽好きな方はご存知かと思うが、W.A.モーツァルトの奥さんの名はConstanze=コンスタンツェである。

一方で、Constantinus=コンスタンティヌスはローマ皇帝として有名である。

トルコのイスタンブールの前身であるコンスタンティノープルの名も、この皇帝の名に由来している。

さて、この双方の名前は、constant=一定、不変と関連がある。

特にローマ皇帝の名はconstant=不変等の意味で、皇帝の世が不変であるようにという意味が込められているのであろう。いわば日本の「君が代」の歌詞と概ね同義と考えてよかろう。

コンスタンツェの名も同様の由来からすると、日本語名では定子、常子といったところか。

ついでに、有名なビートルズの「ヘイ ジュード」だが、Jude=ジュードは、ヘブライ語のユダから派生しており、キリスト教やユダヤ教では伝統的な名前である。ちなみに愛称はJudy=ジュディとなる。

さて、欧米圏では語圏により多少音が変化するも、同じ起源だと推測できる名前が少なくない。

例えば英語のFrederick「フレデリック」は、イタリア語ではFederico「フェデリコ」、ラテン語化する場合はFridericus「フリデリクス」、一方ドイツ語ではFriedrich「フリードリヒ」となる。ちなみにその意味は「平和と支配」だそうだ。

以下に、代表的な人名の、国によるスペルと音の変化を表にしてみよう。

英語 イタリア語 スペイン語 フランス語 ドイツ語
Michael

マイケル

Michele

ミケーレ

Miguel

ミゲル

Michael

ミシェル

Michael

ミヒャエル

George

ジョージ

Giorgio

ジョルジョ

Jorge

ホルヘ

Georges

ジョルジュ

Georg

ゲオルク

Peter

ピーター

Pietro

ピエトロ

Pedro

ペドロ

Pierre

ピエール

Peter

ペーター

William

ウィリアム

Guglielmo

グリエルモ

Guillermo

ギリュルモ

Guillaume

ギヨーム

Wilhelm

ヴィルヘルム

Robert

ロバート

Roberto

ロベルト

Roberto

ロベルト

Robert

ロベール

Ruprecht

ルプレヒト

Steven

スティーヴン

Stefano

ステファノ

Sebastián

セバスチャン

Étienne

エティエンヌ

Stefan

シュテファン

Henry

ヘンリー

Enrico

エンリコ

Enrique

エンリケ

Henri

アンリ

Heinrich

ハインリヒ

David

ディヴィッド

Davide

ダヴィデ

David

ダビド

David

ダヴィド

David

ダーヴィト

Catherine

キャサリン

Caterina

カテリーナ

Caterina

カテリナ

Catherine

カトリーヌ

Katharina

カタリーナ

Margaret

マーガレット

Margherita

マルゲリータ

Margarita

マルガリータ

Marguerite

マルグリット

Margarethe

マルガレーテ

Caesar

シーザー

Cesare

チェーザレ

César

セサル

César

セザール

Cäsar

ツェーザル

Elizabeth

エリザベス

Elisabetta

エリザベッタ

Isabel

イサベル

Isabelle

イザベル

Elisabeth

エリザベート

Julia

ジュリア

Giulia

ジュリア

Julia

フリア

Julie

ジュリー

Julia

ユリア

Richard

リチャード

Riccardo

リッカルド

Ricardo

リカルド

Richard

リシャール

Richard

リヒャルト

Leonard

レナード

Leonardo

レオナルド

Leonardo

レオナルド

Leonard

レオナール

Leonhardt

レオンハルト

 

これらの名前は、ギリシャ神話やローマ皇帝、キリスト教の聖者に由来するものが多い。

その他わかる範囲では、ウィリアムは「強い守護者」、ロバートは「輝かしい名声」、ヘンリーは「支配者の家」、レナードは「強い獅子」、マーガレットは「真珠」、リチャードは「力強い支配者」、ジョージは「農夫」といった意味がある。

 

最近は日本でも、○○ネームとか言って、音や響きを重視する命名が流行っているが、本人が大きくなってから名前の由来を物語れるよう、意味のある命名も悪くはないように思う。

晩秋 その2

気象予報では、明日の朝は、今秋一番の冷え込みとか。前橋でも2、3℃にまで下がりそうです。

さて、前々回に引き続き、我が家の晩秋の紅葉をご紹介します。

左は玄関前のヤマボウシ。ヤマボウシの葉は、同じミズキ科ヤマボウシ属の(アメリカ)ハナミズキとよく似ていますが、紅葉は前者が朱色に近いのに対し、後者は臙脂(エンジ)、紅色に近いように思います。

いずれにしても、このヤマボウシの葉が落ちると、我が家は落ち葉の処理に一苦労です。

右は、まさに臙脂のブルーベリーの紅葉です。

ブルーベリーは、春は新緑、夏は実、そして秋は紅葉、そして冬は繊細な枝ぶりと、四季を通じて楽しめます。

酸性土壌に向いているということで、コーヒーの殻を土に混ぜています。

有効かどうかはわかりませんが。

そうだったのか語源⑲ −スポーツに関わるトリビア−

今回は、スポーツにまつわる言葉の由来を幾つか取り上げてみたい。

 

*サッカー

サッカーという呼び名は米国で使われ、英国ではフットボールという。

足を使うスポーツだからfootballという名称は合点がいく。世界的には、フットボールの名称のほうが圧倒的に多く使われている。

ではsoccerとはいかに?

実は、正式名称はassociation footballというのだそうだ。このassociationの「soc(仲間の意)」に発音しやすいように「c」を付け、人を意味する-erをつけたものがsoccerである。語尾に-erをつけて通称とする呼び方では、rugby=ラグビーの通称がrugger=ラガーであるのと同様である。

さて、サッカーのルールにoff side=オフサイドというのがある。

「反則の位置」と訳されているのだが、これはもともと軍事用語で、「味方の戦力から外され、敵陣の陰に捕えられた兵士」を指したらしい。そこから、

「敵陣の中の、いてはいけない場所にいること」となったらしい。つまり自分や味方の側がon sideで、相手や敵側がoff sideと考えると理解しやすい。

敵陣、つまりゴール側に一人待っていて、そこへボールをパスすれば簡単に得点できて、ゲームとしては面白みに欠けるのであろう。

ちなみに英国では道路上でもこの用語は使われ、中央寄り、つまり対向車線に近いほうをoff side(相手側)、路肩側をon side(自分側)と呼ぶ。

 

*ラグビー

「ノーサイド」は、ラグビーでは試合終了のことを指す(英語圏でもかつては「No side」が使われていたが、現在では「Full time」が使われている)。

戦いが終わったら、両軍のサイドが無くなって同じ仲間だという精神に由来する。なんと崇高なスポーツマンシップか。

knock on=「ノックオン」は、ボールを前方に落とす反則を指す。knockには「叩く」という意味の他に「落とす」という意味もある。

 

*テニス

テニスのカウントの仕方は変わっている。

まず、0のことをlove=ラブと言う。

テニスは11世紀にフランスで始まった。フランスでは、卵を意味する

「l ’oeuf(ロェフ)」という言葉があり、0が卵に似ていることから、0を卵と呼び、それが後に発音の似ている英語のloveに転じたらしい(諸説あるが、本説が有力)。日本語でも0を「まる」というのと似ていまいか。

0の次が15で、30、40とカウントしていく。これにも諸説ある。

「時計の文字盤を4つに分けた」「14世紀頃、プレーヤー同士の賭けの際に使われていた1ドゥニエ銅貨が4枚で60スウという金額になるため、60スウの4分の1である15スウを1つの単位とした」「(テニスの前身であるジュドポームを行っていた)修道院の生活時間が15分単位であった」というものがある。いずれにしても、3ポイント目は40ではなく、45になるはずだが、forty fiveと発音するのが面倒なので簡略化して40としたとの説もある。

 

*野球

bullpen=ブルペンとは、野球場の投球練習場を指すが、もともとはbull=牛の囲い場のことである。諸説あるが、投手を、闘牛場や屠殺場に送られるのを囲いの中で待っている牛に見立てたという説が尤もらしい。

次に、左利き投手のことをsouthpaw=サウスポーと呼ぶ。

pawとは爪のある動物の足を指すが、口語で人の手の意味もある。つまり、「南の手」である。

かつて米国の野球場は原則的にホームベースが北西になるように作られていた。そのため、左腕の投手の手は南側から繰り出されたためにこの名前がつけられたという説が有力である。その他、米国南部出身の投手に左腕が多かったからという説もある。

投手と捕手を、蓄電池を意味するバッテリー=batteryというが、これはかつての蓄電池は2個一組だったそうで、その関係に似ているからという説、あるいは軍隊で大砲の発射を意味するラテン語のbattuere に由来するという説がある。後者では、チームを軍隊、ボールを大砲、投手から捕手ヘの投球を発射に例えているという。

野球チーム名でちょっと面白いのがロサンジェルス・ドジャーズ。

ドジャースの「dodger」とは、「ひらりと身をかわす人」という意味。

ドッジボールのdodgeもまさにその意味。

もともとドジャーズは、ニューヨークのブルックリンを本拠地とするチームだった。

当時、ブルックリン市民の足はトロリーと呼ばれる路面電車だった。

かつて日本でも、路面電車をトロリーバスと呼んでいた。

そのトロリーが来る度に、ひらりと体をかわしながら往来するブルックリン市民のことを、親しみを込めてtrolly dodgersと呼んだそうだが、これがチーム名の由来だとか。

 

*ゴルフ

一般的にOBといえばold boyで、学校の男子卒業生を指すが、ゴルフでは out of boundsの略で、「プレーできるエリア外」を意味する。boundにはボールが弾む「バウンド」という意味もあるが、その他「限界」「境界」という意味もある。

さて、ゴルフのスコア用語には鳥に関係するものが多い。

1903年、それまで誰もなし得なかったロングホールでのパー(標準打数)が破られた。その時のボールはまるで小鳥が飛んでいくように見えたとか。

そのため、パーより1打少ないスコアを鳥の幼児語でbirdy=バーディと呼ぶようになったそうである(英語ではTommy、Jimmy等、語尾に-yをつけて愛称とすることが多い)。さしずめ「小鳥ちゃん」といったところか。

そして、2打少ないスコアをさらに強いeagle=「ワシ」、3打少ないとずば抜けた飛行力を持つalbatross=「アホウドリ」と呼ぶようになったそうである。ちなみに滅多にないが、パー5のコースで4打少ないスコア、つまりホールインワンをcondor=「コンドル」というらしい。コンドルは、インカ帝国では天の神として崇められていたそうで、まさに神業なのであろう。

ちなみにパー(Par)は、もともとイギリスの株取引の用語で、金額が上下する株価の中で、一番基準となる数値のことをパーと呼んでいたそうである。

 

さて、ゴルフには、「ハンディキャップ」というルールがある。

「ハンディキャップ(handicap)」とは、英語の“hand in cap”が訛ったものだとか。

これはかつて、賭博やくじのような遊びで、大当たりで勝った人が、周囲の人が見ている中で、いくら入れたかわからないように取りすぎたお金を帽子の中に入れたことに由来するとされている。

あくまで遊びの中でのことなので、大勝ちした人は取りすぎた分を戻して一人勝ちを防ぎ、ゲームを長く楽しめるようにしたという。ある意味、人間らしい知恵といえよう。

ここから、「強い者と弱い者との差を事前になくしておく」ことを呼ぶようになったとか。

 

*ボクシング

リングが四角いからboxingではない。

boxには、動詞で「(平手や拳で)殴打する、殴り合う」という意味がある。

ちなみに、リング=ringとはもともと輪のように人々が手をつないで、その中で格闘したからというのが定説である。レスリングのリングはその名残とされている。やがて観客が見やすいように、高いところに上がって戦うようになり、選手が落ちないようにロープを張る際、ロープを張りやすいように四角になったそうである。だからring(輪)にcorner(角)があっても合点がいくのである。

さて、ボクシングの階級には面白い名前が付いている。

フライ級のfly=フライとは「ハエ」のこと、ウェルター級のwelter=ウェルターは「波のうねり」、bantam=バンタムは鶏の「チャボ」、feather=フェザーは「羽根」、cruiser=クルーザーは「巡洋艦」、そして以前あったmosquito=モスキートは「蚊」の意味である。脈絡のない命名であり、またチャボが羽根より軽いのは解せない。

 

*コーチ(番外編)

最近、いろんなスポーツでコーチが注目されている。コーチが物議を醸したスポーツ界もある。

訓練する人や指導者を指しているが、もともとcoach=コーチとはハンガリーのコチ(Kocs)という町で作られた四輪馬車のコチ(kocsi)に由来する。

それゆえ、バッグのブランドで有名なコーチには馬車のマークが付いている。

馬車が人や物を目的地へ運ぶことから、次第に「コーチ」という言葉自体が、「大事な人や物を運ぶ」「目的地に運ぶ」といった意味をもつようになったとされている。

つまり、「人を目的地まで運ぶ」→「目標達成をするためのお手伝いをする」のがコーチの職業、あるいは役割になったそうである。

(群馬県保険医新聞歯科版掲載のための原稿)

晩秋

光陰矢の如し

あれよあれよと言う間に、今年も晩秋を迎えました。

あれもこれもしなくてはとは思うのですが、パソコンのエンターキーを押すようには綺麗に片付いてはくれません。

目の前のことをひとつずつ、コツコツやっていくしかないようです。人生、65年も生きてきて、まだ学習能力が身についていません。

その間も、時間だけは確実に進んでいきます。

庭に目をやると、時間が経過した証が、言い逃れをあざ笑うかのように突きつけられます。

左の写真が、医院前のブナの木。黄葉した葉は、カサカサと音が聞こえるくらい薄く乾燥しています。落ち葉にもなりますが、多くが春まで枝先に残ります。

右は坪庭の八重のサザンカ。

もう、花びらの多くが変色し始めていて、年末の訪れを予感させます。

そうだったのか語源⑱ −略語について その3−

今回は、3文字のアルファベットの略語を中心に見てみよう。

まず、銀行の前にあるATMはautomatic [automated] teller machine の略で、「現金自動預け払い機」と和訳されている。ちなみにtellerとは、銀行の窓口係のことを指す。

最近よく耳にするIoTはinternet of thingsの略で、「モノのインターネット」と和訳(正確には完全な和訳ではない)されており、家電製品での普及が進められている。

続けてIT関係でいくつか。

家庭や職場内で、パソコンとプリンターなどを繋ぐ(無線)LANとは、local area networkの略で、限局されたエリアでの情報通信ネットワークを指す。

CD-ROMのROMはread only memory=「読み出し専用(書き込み不可)メモリ」の略、一方似ているRAMは、random access memory=「任意に書き込みできるメモリ」のことで、パソコンのメインメモリは後者である。

では、最近話題に上るシムロックのSIMとはいかに。

subscriber identity moduleの略で、きちんと和訳されたものはないが、「加入者個人特定機能」あたりがイメージしやすいのではないだろうか。

医療に関するところでは、ICUは「集中治療室」と訳されているが、intensive care unitの略である。「治療」と訳されてはいるものの、cure(治療)ではなく実質的にはcare(管理)である。ちなみに、国際基督教大学=International Christian UniversityもICUと表記される。

画像診断に使うMRIは、 磁気共鳴画像=magnetic resonance imagingの略である。 ちなみにX線を使うCTはcomputed(computerized)tomographyの略で、「コンピューター断層撮影装置」と和訳されている。

医療用のX線装置ではデジタル化が進み、そこにはCCDが使われている。

CCDは、ビデオカメラやデジタルカメラに使われている半導体素子のことで、charge-coupled device=「電荷結合素子」の略語である。

また、最近歯科ではやりのCAD/CAMだが、computer aided design/computer aided manufacturingの頭文字を繋げたもので、CADは「コンピューター援用設計」、CAMは「コンピューター援用製造」と和訳されている。

さらに、CAP:computer aided preparation(歯科関係者にしかわからない)が実現すると、歯を削る歯科医はいなくなってしまうが、これはあくまでジョーク。

さて、社名で3文字の代表格を二つだけ挙げてみよう。

パソコンのIBMは、International Business Machines Corporationの略称だが、和訳は見つからない。勝手な和訳をご容赦いただけるなら「国際事務機器(株)」といったところか。

自動車のBMWは、 Bayerische Motoren Werkeの頭文字をとった社名で、発音としては「バイエリッシェ モトーレン ヴェルケ」で、和訳すればさしずめ「バイエルン自動車工業(株)」であろうか、何だか少し庶民的な響きに変わる。

大学名では、科学技術で有名なマサチューセッツ工科大学はMassachusetts Institute of TechnologyでMITと略される。instituteは一般的に機関や研究所と和訳されるが、(工科)大学や専門学校にも使われる。

さて話は変わり、太平洋戦争時のGHQはGeneral Headquartersの略で、正式には「連合国軍最高司令官総司令部」と和訳されているが、generalなので、単に「総司令部」のほうが英語に忠実な訳と思われる。

次に、何やら怖いイメージのあるCIAとFBIだが、前者はCentral Intelligence Agency=「中央情報局」の、後者はFederal Bureau of Investigation=「連邦捜査局」のそれぞれ略である。

米国の中央銀行に当たるFRBは、The Federal Reserve Boardの略で「連邦準備制度理事会」と訳されているが、正式にはBoard of Governors of the Federal Reserve Systemと表記され、先の和訳はこちらを直訳したものと思われる。

貿易関係では、TPPはTrans- Pacific Partnership Agreementの略で、「環太平洋パートナーシップ協定」と訳されている。trans-には「横切って、貫いて」といった例えばシルクロードのようなイメージがあるので、個人的には「環」より「汎」のほうが本来の意味に近い気がする。

一方のFTAは、free trade agreement=「自由貿易協定」の、さらにEPAはeconomic partnership agreement=「経済連携協定」の略語である。

これらはややわかりにくいが、国と国(または地域)のあいだで関税をなくして、モノやサービスの自由な貿易を進めることを目的とした協定がFTA、関税の撤廃だけではなく、知的財産の保護や投資ルールの整備なども含め、さまざまな分野で経済上の連携を強化することを目的とした協定がEPA、それを環太平洋という広い地域で行おうというのがTPPということになる。

これら、自由貿易促進を主たる目的として創設された国際機関がWTOで、World Trade Organization=「世界貿易機関」と和訳されている。

次に交通に関係するもので、鉄道の安全な運行に欠かせないのがATS(automatic train stop device:自動列車停止装置)やATC(automatic train control device:自動列車制御装置)と呼ばれる運転保安装置である。

カーナビで利用されるGPSは、global positioning systemあるいはglobal positioning satelliteの略で、前者は「全地球測位システム」と和訳されている。

有料道路のゲートをノンストップで通過できるシステムは、ETC: electronic toll collection system=「電子料金収受システム」である。

ちなみに高速道路でのトラブルでお世話になるJAFは、 Japan Automobile Federation=「日本自動車連盟」の略称で、実態に近い「緊急」といった意味は全く込められていない。

さらに歴史のあるものでは、JISはJapanese Industrial Standard=「日本工業規格」、JASはJapanese Agricultural Standard=「日本農林規格」の略称である。

JAXAは、Japan Aerospace eXploration Agency=「国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構」の略だが、直訳なら「日本航空宇宙研究開発機構」となろう。

NGOはnon-governmental organization=「非政府組織(民間公益団体とも約される)」、NPOはnonprofit organization=「非営利組織(団体)」、PKOはpeacekeeping operation=「(国連)平和維持活動」の略称である。

その他放送局関連では、米国の3大テレビネットワークはABC、NBC、CBSで、それぞれAmerican Broadcasting Company=「アメリカ放送会社」、National Broadcasting Company=「全国放送会社」、Columbia Broadcasting System=「コロムビア放送(現在はCBS Broadcasting, Inc.)」の略称である。

英国のBBCのBはもちろんブリティッシュである。

日本のNHKは「日本放送協会」という日本語の名前の頭文字をそのまま使ったもの、TBSはTokyo Broadcasting System=「東京放送(旧社名)」から命名された。

本題から逸れるが、TV局といえば「スタジオ(studio)」がつきものである。

この「studio」の語源は、「努力する場所」という意味をもつラテン語studium=「スタジアム」だそうで、本来は芸術家や写真家などの「仕事場、工房、アトリエ」を意味する名詞だとか。ちなみにスタジオとスタジアムは同じ語源から派生している。推測に難くないが、「努力して励む」が原義であるstudyももちろん同源である。

さて樹脂素材でいうと、ペットボトルは日常生活に不可欠なものとなっているが、このペットとは犬などのペットではなく、PETつまりpolyethylene terephthalate=「ポリエチレンテレフタレート」の略である。同様に、PPは「ポリプロピレン」、PVCはpolyvinyl chloride=「ポリ塩化ビニール」の略である。

ちなみに、医療で使われる「PET検査」とは「陽電子放射断層撮影」という意味で、positron emission tomography=ポジトロン・エミッション・トモグラフィーの略である。

米国では企業のトップをCEOというが、これはchief executive officer=「最高経営責任者」の略である。

最後に、現在私が会長を務める群馬県保険医協会にも関係のある、やや長いIPPNWという国際組織があるが、これはinternational physicians for the prevention of nuclear war=「核戦争防止国際医師会議」の略である。

原文の中に「会議」という言葉はない。「医師の集団」で終わってしまうと組織の意味合いが弱まるので、原文も「the Congress of」で始まっても良さそうな気もするが、これはあくまで私見である。

(群馬県保険医協会歯科版掲載のための原稿)

 

 

プルメリア

10月上旬ですが、この間台風19号が記録的な猛威のまま関東の上陸しました。河川の氾濫、崖崩れ等で、多くの方が犠牲になりました。 冥福をお祈りするとともに、一刻も早い被災地の復興を願うばかりです。

さて、かつてこの頃は運動会の真っ盛りで、小学校の歓声が金木犀の香りとともに忘れ得ぬ風物詩でした。

3年前に頂いたプルメリアが今年初めて開花しました。

左は10日前の様子、燭台のようです。

中央が今朝の状態です。バニラとクチナシがミックスしたような甘い香りで、いかにも南国の風情です。

右はハナミズキの赤い実です。ポインセチアの実にも似てますが、思えばもう2ヶ月もすればクリスマスです。

光陰矢の如し、毎日を噛み締めながら過ごしたいと思います。

オリーブアナアキゾウムシ

医院の玄関前のオリーブの木が元気がありません。今年は実もあまりつけませんでした。

よくよく根元を見たら、木屑のようなものがこんもり。

調べてみたら、オリーブアナアキゾウムシの仕業でした。

直径20cmの幹に、写真の様な穴が無数に開いていました。

スミチオン(殺虫剤)を穴めがけて注入してみましたが、どうなることやら。

実生の苗木を数本取っておいたので絶滅だけは避けられそうですが、できれば愛着のある親木に残って欲しいものです。 オリーブよ、がんばれ。

写真右はハツユキカズラで、オリーブのある植え込みを埋め尽くしています。白やピンクの新葉が彩りを添えます。

とても繁殖力があり、今ではこれ以上広がらないように切り詰めていますが、それでも増えます。

 

保育園理事長退任

公務が増えたため、9年間務めたあゆみ保育園の理事長を退任しました。

3人の子供たちがお世話になったご縁から、私で何かお役に立てるならという思いでお引き受けしました。

在任中、これといって何かを成し遂げるなどということはできませんでしたが、保育園として初めて理事会という形になった当初から、何もわからず手探りでやってきたというのが正直なところです。

理事の方々、園の方々のご協力のもと、保護者ではなく、子どもたちを預かる立場になって、貴重な体験をさせていただきました。

9月28日、理事の有志による歓送迎会を開いていただきました。

頂いた花束を医院の窓口に飾らせていただきました。

 

そうだったのか語源⑰ −略語について その2−

前回に引き続き、2文字のアルファベットの略語について触れてみたい。

ごく日常的に耳にするPRは、宣伝や布教活動を意味するpropagandaの略かと思いきや、実はpublic relations=宣伝の略だそう。ま、あまり大きな問題ではない。

proportional representationもPRだが、こちらは比例代表制を意味する。

さて、午前と午後をそれぞれAM, PMというが、これはラテン語のante meridiem (英語ではbefore noon) でPMはpost meridiem(英語ではafter noon)の略である。

このanteは、イタリアンのantipasto=前菜のanteで「前」の意、postはもちろん「後」の意である。meridiemは英語ではmeridianで、空に太陽(星などでも)が最も高く上がる時=南中、つまりは正午を意味する。ちなみに、日本語の正午の「午」は、十二時辰の午の刻(うまのこく)のうちで午の正刻である。十二時辰で「午の刻」は24時間制の11時から13時までの2時間を指す。

次に、ラジオにはAMとFMがあるが、前者がamplitude modulation の、後者がfrequency modulation の略で、それぞれ振幅変調方式、周波数変調方式と和訳されている。要するに、AMは電波の強弱で音を伝え、FMは電波の強さは一定で、電波の密度で音を伝える方式ということらしい(私は理系ながらこの辺は全く不案内である)。

2文字の略語が出たついでに、紀元前をBC、紀元後をADと表記するが、前者はBefore Christ、後者はAnno Dominiの略である。後者はラテン語だが、英語では(in the Year of the Load)で、「主(しゅ)の年において」といった意味になる。

ちなみに19世紀以降から、非キリスト教徒との関係からADをCommon Era(略:CE、「共通紀元」の意)、そして紀元前(BC)をBefore Common Era(略:BCE)に切り替える動きが広まっているそうである。

キリストに関係する略語で、クリスマスをXmasと表記することがある。

これにはギリシア語が関わっている。

ギリシア語には英語の “X” に似たような形の “chi” という文字がある。その “X” に似た文字が「キリスト」を表すギリシア語 “Χριστός(Christos)” の先頭の文字である。

“christmas” のことを “Xmas” と表記する習慣は数百年も前からあったそうで、当時は “X” という文字自体がキリストを表す略語として使われていたそうである。

さて、これまでの流れとはやや関連が希薄になるが、番号を表す文字にNo.がある。

「数」を表す英語はnumberだが、ラテン語ではnumero となる。numeroは正確にはin numberの意、「数でいうと」といったところか。

このnumeroの省略形がNo.である。ラテン語では語尾変化が多いので、最初の文字と最後の文字をとって省略形とすることがよくある。例として、医療用のカルテで「同じ、同上」の意味でdoと表記することがあるが、これはdittoの省略形である。

IQは知能指数と和訳されるが、intelligence quotientの略語である。最近ではさらにEQというものが注目されているが、これは emotional intelligence quotient=情動の知能指数の略語である。

IQが「知能」の発達速度を表すのに対し、EQは仕事への取り組み姿勢や人間関係への関心の度合いなどを感情という視点から表すとされている。ちなみにeducational quotient=教育指数もEQだが、こちらは内容が全く異なる。

2文字の略語はさらに続く。

EUはEuropean Union=欧州連合の略であるが、これはかつてのEC(European Community=欧州共同体)から発展し、外交や安全保障政策の共通化や、ユーロによる通貨統合の実現をめざす統合体を指す。

UNはUnited Nations=国際連合の略語である。ちなみにその全身である国際連盟はLN(League of Nations)である。

米国の首都、ワシントンD.C.のD.C.はDistrict of Columbia=「コロンビア特別区」の略である。米国には50の州があり、州立大学のように州ごとに法律や制度が異なることが多い。ワシントンD.C.には国の重要な機関が多くあり、「どの州にも属さない連邦政府の直轄地」という意味が込められている。コロンビアという名は、アメリカ大陸発見者コロンブスに由来している。ちなみにColumbus=コロンブスはラテン語で鳩という意味である。

プロ野球で使われるFAはfree agentの略で、どの球団とも選手契約できる権利を持つ選手を指す。ついでにDHはdesignated hitterの略で「指名打者」と和訳されている。我々が関係する医療分野では、dental hygienist=歯科衛生士もDHと略される。

OAはoffice automationの略で、事務作業の自動化のことをいう。それを逆にしたAO入試のAOとはadmissions office=「入学管理局」の略で、学力試験を課さず、入学管理局の選考基準に基づいて入学の可否を判断する選抜制度のことをいう。

OPと略される言葉は多い。以下に代表的なものを挙げてみる。

option=オプション、選択肢、選択権

opening=オープニング、番組やコンテンツの冒頭に使われる音楽や映像

operation=オペレーション、手術、処理、操作

opus(Op.)=オーパス、音楽などの作品番号

他にも枚挙にいとまないが、まずは今回このくらいにしておこう。

(群馬県保険医協会歯科版掲載のための原稿)

テッポウユリ

8月ももう終わり、朝子供達の声も聞こえるので、この辺りの小学校では2学期も始まったようです。

ここ前橋でも、まだ日中は35℃近くまでになる日もありますが、朝夕はずいぶん涼しくなり、また1ヶ月前に比べ、日暮れが早くなったのがはっきり感じられます。

暑い時間は外に出たくなくなりますが、日差しが傾いた頃庭に出てみると、テッポウユリがあちこちに花を咲かせていました。我が家の庭はどこから種が飛んでくるのか、テッポウユリが勝手に増えています。

調べてみると、花弁の裏に紫の筋が入っているのでタカサゴユリという種類かもしれませんが、両者には混雑種が多いそうで、外見上の特定は難しいようです。

暑い時は、右の白いサルスベリ同様、白い花は心に涼やかな風を運んでくれますね。でもサルスベリは漢字で百日紅と書きますから、本当は白とは矛盾するのかもしれません。

北九州の豪雨災害が早く終息しますように。